ユングの個性化への道
フロイトやユングが発見したとされる
"無意識"
心理学にこの概念がもたらされたのは、今からまだたった100年と少し前のことです
本当に心理学と言うのは新しい分野の学問だと言う事が分かります
今では当たり前の概念として知られている『無意識』と言う領域に生涯をかけて取り組んだユングについて少し書いてみたいと思います
(私は臨床心理家でも専門の教育を受けた訳でもない、昔からただ心理に興味のある一般人としての勝手な感想なのでご了解くださいまし)
ユングの一生は大きく前期ユングと後期ユングに分けられると言われています
前期は精神科医として臨床から様々な考察を得た期間
後期は自らの経験から執筆や又は思想家として新しい概念を世の中にもたらしていった期間です
様々なユングの提唱した分析心理学の概念: (アニマ アニムス 元型 集合的無意識 タイプ別診断・内向的 外交的 など)は主にユング前期の1920年代初頭には完成したと言われています
そして後期はそれらをベースに更に自らの無意識との対峙を経て
その結果東洋思想(主にインド仏教)やインド哲学(クンダリーニヨガ・瞑想・曼陀羅)中国的思想や錬金術 の中に自らとの共通点や過程を見出していき、それらを思想としてセミナーや執筆を通して表現していきました
この中でも後期にあたるユングにとって最も大きな転換点であり、"魂の闇"だったと言われている期間が、師でもあり、父親の様に慕っていたフロイトと決別した後の6年間です
フロイトと言う立脚点を見失った彼は、その後最低限の仕事以外は自宅に篭り、自分の無意識と対峙する事で次第に統合を図っていきました
その手段の一つとして、毎日見る夢を絵や曼荼羅に表現しそれらを分析することで自己の内面を理解して行きます
またそれらは個人のものだけに止まら無いと言う事も、啓示的な夢の後に第二次世界大戦が起こった事で更に理解を深めていきます
(=集合的無意識)
そして亡くなる数年前に心筋梗塞を起こした彼はその際の臨死体験で宇宙空間から地球(どうやらインドの辺り)を見下ろしていたそうです
その時
【価値判断や感情的結合と言うものから切り離された客観性を感じ、自分自身や他人への客観性は個性化の一部を為しており
それにより統合が促されると分かった】
(※ユングの言う個性化とは=それぞれの個人の無意識の領域には、その人特有の種子の様なものがあり、それを発芽させその人独自の花を咲かせることだと言っています)
と言うことを後に話しています
そしてその体験から
"どんな人生であれ、その人生の全てを享受することが最も大切である"
と言い、完全に死を受け入れた彼はその後以前にも増して元気になり
それまで後ろ向きであった、ユング研究所を立ち上げようと動き出します
更に亡くなる2日前には
大きく丸い石の塊に
➖これは全体であること
すなわち一つであることを
あなたに告げる前兆でなるであろう➖
と刻まれている夢を見たと言っています
無意識との長い対話を重ねて、それらを内外共に広げたユングは自らの個性化が達成された事をこの夢でも認めたのでしょう
このように、長い間真摯に自分の内面と向き合い、無意識の部分を突き詰めて行ったユングでも
【無意識とはやっぱり無意識なんだ】
(計り知れないもの)
と言っています
私は彼の自伝を読みながら自らの経験を照らし合わせて
どれだけの人にこんな事ができるのだろうか…と、正直思いました
彼の様な専門家が魂の闇をも経て、生涯をかけて取り組んでもまだ自己の内面には分からない事だらけで、無意識の領域はやはり無意識でそこには光と闇が存在していると
だとしたら、専門職でない私達一般人にとっては自分の内面ですら分からない事だらけであることは当然で、他人に至っては計り知れないものだらけでしかなく、それをたった数十年の短い人生の物差しで測ることなどできないなと
もうこれは観念して、ひたすらに人生の一瞬一瞬を受け入れていくしかないことを、ユングの一生を改めて読み直しながら感じています
彼の著書から分かる確かなことは
無意識とは、光も闇も同時に存在していて、しかも個人だけのものではなくそれは全体性とも繋がっている切り離せないものであり、全てを含めて私であり私達だと言うことで
自己の統合とは、それらをひたすらに見つけて自らの内側に内包して行くしかないのだと言うこと
また、代々のキリスト教徒であり父親も親戚のほとんどが牧師の立場でありながら、彼は自らの体験から
"神は光だけではなく闇でもある"ことを著書で書いています
(当時のヨーロッパではとてつもない反逆行為でした)
勿論それは多方面から批判されました
しかし自分の中にある真実を白日の元に晒すと言う覚悟が、その後のユング自身の内側にある自己の広大さを統合する道に彼を押しやったのだとも思いました
それは現代に生きる私が読んでも重なる体験が多々あり、自らのどんな些細な体験でも見逃さなかった彼の生き様は、これからの統合の道を示してくれているようにも感じ、勇気をもらいます
※シュタイナーはもう少し勉強を重ねてから来月辺りにまとめてみようと思っています♪
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